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ブラック企業で働いた新卒の話part6

今就職活動中の君!!

 

会社選びは慎重にね!!

でないとお兄ちゃんみたいにブラック企業で働くことになっちゃうよ!!

 

 

 

 

 

とまあ前回からの続き書こう

 

 

 

 

<続き>

お客さんと別れた後、店長にはすぐ帰ってこいと言われたがコンビニに立ち寄り一服することにした。

缶コーヒーとタバコを買い、前の喫煙所でタバコに火をつけた。

そこでさっきの出来事を思い返してみた。
だが、やっぱり今は心が高ぶっているのかうまく思考を整理できない。
ただただ嬉しい、と思うだけで自分がどうして契約をできたのか。そこにうまく考えを巡らせることができなかった。
それとやっぱり店長のことが頭に出てきた。

あの人はいったい何者なんだろう?
どうしてあそこまで自分に自信を持てるのだろうか?
どういう人生を送ってきたのだろうか?

僕は店長に興味を抱いていた。

見た目はどこにでもいるおっさんでアラフォーだ。子供も二人いて奥さんと子供を溺愛している。たまに奥さんと子供が職場にお弁当を持ってくる。子供は上が7歳で下が3歳だ。部下の前でも子供に親バカっぷりを惜しげもなく披露し見てるこっちが恥ずかしくなる。最近の悩みは中年太り出そうだ。

この時点で僕が知っている店長の情報はこれくらいだった。

でもこの商談が終わった時点で僕は店長に今まで人に抱いたことのない感情を抱いていた。

俺もこんな人になりたい。

一番強く心を占めていた感情はこれだと思う。

僕は正直言って今までの人生の中で人を尊敬したことなんてなかった。というより、自分のことばかりで心の奥底から『この人のことをもっと深く知りたい!』と思ったことがなかった。
どんな人間にも表面上はフレンドリーに接し、その人間のことをどこかで見下していた。

「お前なんかより本当は俺の方が素晴らしい人間だ。」

と根拠のない自信を持って人と接するのが僕の人との接し方だった。
だから人に媚びへつらうのにも抵抗はなかったし誰にどう思われてもいいと思ってた。
どうせ本気を出せば俺の方がすごいんだから。

そんなちっぽけなプライドが僕を支えていた。

逃げの毎日だった。

 


だけどこの店長は初めて僕が感じた心の奥底から『敗北』を認めた人だった。
なぜかわからないけどそう思ってしまった。

とにかく僕は店長に敬意の念を抱いてしまった。

 

 

そんなこんなで僕は店舗に帰った。

店舗に戻るともう6時だった。

『ただいま戻りました。』
僕がそういうと店長は電話中だったので手で『お疲れさん』といつもの挨拶をしてくれた。

先輩たちは全員出払っていて、いるのは僕含め店長と新卒の5人だった。

別室の新卒たちがいる部屋に行くと同期の男の一人が
「契約おめでとう」
とまたしても何とも言えない表情で言った。ちなみにこいつとはめちゃくちゃ仲はいい。そしてこの会社でも自分が絶対車について一番詳しいという自負がありこの仕事を天職と感じている奴だった。冗談が言い合える仲だった。

もう二人はおっぱいのデカイかわいこちゃんでわざとやってんじゃねえかってくらいゴリゴリの博多弁で口のきき方も知らないいわゆる今時の女の子だった。もう一人も女の子でまな板くらいの貧相なお胸の持ち主でそしてあまり可愛くはなかった。でも屈託無く笑う心の綺麗そうな女の子だった。

僕はデスクに荷物を置くと隣のおっぱいのデカイかわい子ちゃんがなぜか距離をとった。

「なんで避けんねん?」
と僕が言うと

「あんた今日ノーパンなんやろ。キショいから近よんといて。」

イラっとしたのでわざと近寄って追いかけ回してやった。

しばらくして店長の電話が終わったので僕は契約書類を店長に渡しに行った。

店長は書類を受け取るといつもと変わらぬ調子で

「はいはいお疲れさん。」

と言って書類を受け取った。

「先ほどはありがとうございました。店長のおかげで契約できた気がします。」

「いやいや、気がしますじゃなくて99.9パーセント位俺のおかげだけどね。」

自分の中では10パーセントくらいは自分の力もあったと思ったので少しだけショックだった。

「おっしゃる通りです。上司に対して誠に失礼かもしれませんが俺は店長に対する尊敬の念が止まることを知りません。」


少し愛の告白をしてみた。

「いや、止まって。キモいから。」

普通に断られた。

「今度いつでも構わないので是非店長のお話を聞かせていただきたい所存であります。」

「いや、無理。キモいから。」

「可愛い部下のためと思ってそこをなんとか。」

「いや全然可愛くないし、全然まゆこの方が可愛いし。」

「それはニュアンスが違います。」

「もううるせえな〜。お前程度に話すことなんてないってのまだ。」

その後も店長と押し問答を続けていると先輩が帰ってきた。

ちなみにこの店舗には先輩が3人いて3年目の先輩の藤原さんと4年目の鈴木さんと2年目の吉崎さんという人たちがいた。

帰ってきたのは3年目の藤原さんだった。序列的には上から二番目だがこの人が実質店舗の数字を一番支えている立役者だった。常に全国トップクラスの成績を残し上からも一目を置かれている有望株で、関西弁で強面だが話すと優しい魅力的な人だ。


「お疲れ様です!」

僕は藤原さんに言った。

「ちょっと藤原ーー。こいつしつこいからお前なんとかして〜。」

と、やる気のなさそうな声で店長が藤原さんに言った。

「嫌ですよ。俺もめんどくさいの嫌いですから。」


どいつもこいつも人のことをストーカーのように言いやがって。

それでも可愛い後輩を演じようと藤原さんにターゲットを変えて

「藤原さん!是非藤原さんのご教授を教わりたい気持ちが今高まっています!」

自分でもうざったいキャラになっているのはわかっていたので出来るだけうざったく言ってみた。
「なんやねん、もうめんどいから喋らんといて。今疲れてんねん。」

「肩でも揉みましょうか?」

「ああ、それなら頼むわ。」


配属されてから1週間ほど経ってからこの藤原さんのなぜか肩もみ係に任命されて営業先から帰ってきた時はだいたい大声で

「〇〇ーーーーー!!」

と呼ばれるとだいたい肩を揉めとの指令なので最近はこの人が帰ってきた時はいつ呼ばれてもいいように別室のドアの近くで待機してすぐに行けるように準備している。

いやー、織田信長に仕えている時の豊臣秀吉ばりにいい下僕っぷりだね。我ながら素晴らしい。


そんなこんなで肩を揉んでいると別室から新卒たちがぞろぞろと集まってきた。

だいたい7時くらいだったがこの時間になると暇な時はめっちゃ暇なので各自作業をしながら談笑タイムと化していた。

もちろん新卒である僕たちはさして仕事もないので僕たちだけ完璧な談笑タイムだった。

ちなみにこの時も店長は小忙しそうにパソコンを叩いていたり電話していたりする。何をしているかはよく分からないが。

 

そんなこんなで話しているとだんだんと下世話な話になってきた。

「お前ら風俗行ったことあるん?」

なぜかいきなり先輩からそんな話題を振られた。

僕は

「大学時代に先輩に誘われて何度かは。でも本格的な奴は一度もないですね。多分俺が行ったのはピンサロと言われるやつです。」

もう一人の同期の清水はかなりのイケメンなのでもちろんそんなところは行ったことがないと言った。

少し女子の目線が気になったのでチラリとボインの顔を見てみると汚物でも見るような顔で僕の顔を見ていた。

この話始めたの俺じゃねえだろ。正直に答えてなんで引かれなければならない。


イラっとしたので満面の笑みをボインに送った。

さらに顔がゆがんで、もう顔で『キッショっ』と言っているのがわかった。

はい。ありがとうございます。


「なんやねん、しょーもないな〜。店長、こいつら風俗すら行ったことないらしいですよ。」

「へー。」

とパソコンをカタカタ鳴らしながら興味なさそうに店長は返した。

「えっ!連れてってくれるんですか!?ありがとうございます!!」

またうざったい感じで言ってみた。

「お前だけは絶対連れて行かへんわ。」

「すいません。少しだけ静かにしています。」

お口にチャックをするポーズをとって僕は黙った。

「お前はともかく、清水は行ったことないんや。あーあー、お前人生半分損してんで。どうせ自分はイケメンだからそんなとこに行かんでもいいしとか思ってんのやろ、ホンマ死んだらええのに。」

なぜか清水がディスられた。こいつは口数があまり多くないので先輩にいじられても無表情のままなのが通例になっていた。

「俺あんま詳しくないんでわかんないんすけど風俗ってどこまでできるんですか?」

黙っている気だったがすぐに質問してしまった。

「本番もできるとこもあるしそらもう用途によって色々や。俺は本番とかは嫌いやねん。なんで仕事で疲れてるのにまた疲れることせえへんといけへんのや。頭おかしいで。」

「藤原さんめっちゃ可愛い彼女いますもんね。」

「お前の言い方なんか悪意あんねん。腹たつわー。」

「本番なしだったら何があるんですか?」

「俺は最近回春マッサージにハマってんねん。最高やで。こっち何もせんでいいし普通にマッサージ上手いし、ああーもう寝るわー。って思った瞬間スパン!って抜かれんねん。お前らあんなん体験したら絶対ハマんで。」

となぜか自分の性癖を女子の前で大声で発表する先輩。

あんた最高や。

「へー。想像できませんね。」

と同期と二人で顔を見合わせた。

するといかにもわざとっぽく先輩が

「店長、こいつら回春も行ったことないらしいですよ。」

と店長に報告した。またも興味なさそうに

「へー。」

と返事をした。

「そういや店長とまだ回春行ったことなかったですね。」

 


あんたら結構行ってたんかい。

俺の尊敬の念を返してくれ。

 


「んぁぁ。そうだっけ。」

と店長が言うと先輩がまたもやわざとらしく

「いやー、店長とゾクフー(風俗のこと)行くと面白いですからね。そういや店長俺さっきの商談で月次目標達成しましたよ。いやーありがとうございますぅ。」

と声高々に発表した。

 

あんたもだいぶうざったいよ先輩。

 

店長がもうめんどくさくなったのか

「あーーー。もうわかったよ。行くから。それでいいのかな。トップ営業マンさん。」

先輩は小さくガッツポーズをして

「はい決まりー。今日は仕事早めに切り上げんぞー。鈴木さんと吉崎にも誰か報告しといてー。」


と、なぜか僕の初風俗はこんな感じで決まった。

ちなみに終始女子たちは『最低ー』とか『本当、男って単純ですねー』とか相槌を打ちながら軽蔑していた。


おそらくその軽蔑は先輩に向けるわけにもいかないのでこの僕が一身に引き受けることになるだろう。

男はつらいね。

 

 

 

 

 

 

はい今回はこのくらいでいいかな。

後半下劣な話しかなかったけどただただ楽しかったのでここら辺は鮮明に覚えている。

次回はなぜか俺の初風俗の話を書こう笑


大人の階段をこうやって人は登っていくんですね。

 


ああ。眠い。おやすみ。